「英語を聞き流すだけで英語が聞こえるようになる!」
こんな謳い文句の英会話教材を時々見かけます。
英語が聞き取れない、スピードについていけないなど、英語リスニングに悩みを持っている人なら惹かれる謳い文句ですよね。
一方で、本当に聞き流しで英語のリスニング力が上がるのか疑問を持っている人も多いのではないでしょうか。
結論から言うと、英語を「無意識に」聞き流すだけでは英語のリスニング力は上がりません。
本記事では
- 英語リスニングのメカニズムと聞き流しの関係
- 英語の聞き流しでリスニングが上達しない理由
- 聞き流しを英語リスニング力向上につなげる方法
などをご紹介します。
この記事を読めば英語の聞き流しをリスニング力向上につなげられるようになりますよ。
10分ほどで読めますので、ぜひご一読ください。
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英語の聞き流しとは?
「英語の聞き流し」とは、流れている英語音源に意識を向けないまま英語を聞いている状態を言います。
レストランやお店ではBGMが流れていることが多いですが、内容に意識を向けることはまずありませんよね。
お店での音楽はあくまで雰囲気作りが目的であり、歌詞などがあっても聞いていないことが多いのではないでしょうか。
英語の聞き流しもそれと同じです。
英語の聞き流しとは、英語の音を聞いてはいるけれども内容は頭に入っていない状態とも言い換えることができますね。
英語の聞き流しはリスニング上達に効果的?
そんな英語の聞き流しですが、英語のリスニング上達に効果はあるのでしょうか。
結論から言うと、「意識を向けない状態」で聞き流している場合リスニング力向上に効果は期待できません。
なぜなら意識しないで英語の音を聞いても、それはただの「音」でしかなく雑音と同じ状態になってしまうからです。
もちろんあらゆる情報の吸収力が高い年齢の小さい幼児であれば、特別意識を向けなくても英語の音を聞いて英語リスニングができるようになる可能性は十分に考えられます。
しかし大人の場合は「必要な情報」「必要ではない情報」を取捨選択して音を拾うため、意識しない状態では、英語の音を意味のあるものとしてとらえることができません。
リスニングの仕組み
「意識しない状態」で英語を聞いても、英語音源を意味のあるものとしてとらえることができないのは、リスニングの仕組みからも明らかです。
英語リスニングの仕組みは主に3つの要素にわけることができます。
「音声知覚」と「意味理解」、そしてどちらにも関わってくる「知識データベース」です。
- 音声知覚・・・英語の音情報を単語に置き換える能力
- 意味理解・・・音声知覚で拾った英語の意味を理解する能力
- 知識データベース・・・単語の音や意味、文法データ、例文データなど
例えば「ラナウェイ」という音が聞こえたときに「run」「away」の2語で成り立つと認識する能力が音声知覚、「run away」が「逃げる」という意味になると理解する能力が意味理解と言えます。
それらを2つの能力の土台となるのが知識データベースです。
「ラナウェイ」が「run」と「away」の2語で成り立つと理解できるのは、「ラナウェイ=run away」という音声データがあるからこそ。
また単語の知識データがあるからこそ、「run away」が「逃げる」であると認識できるのです。
母国語であっても意識を向けないと内容が頭に入ってこないもの。
母国語ではない英語の場合、なおさら意識的に「音声知覚」あるいは「意味理解」を行わないと意味のある音としてとらえることができません。
英語の聞き流しでリスニングが上達しない要因
リスニングの仕組みを理解したところで、なぜ「無意識な」英語の聞き流しだけではリスニングが上達しないのか具体的に理由を見ていきましょう。
主に3つの理由があります。
- 知識データベースが不足している
- 英語の発音を理解できない
- 聞き流しだけをしている
それぞれについて詳しくご説明します。
①知識データベースが不足している
単語の音や意味、文法などの知識(=知識データベース)は、音声知覚にも意味理解にも関わってくる英語の土台となる部分です。
英語の聞き流しをしてもリスニングが上達しない理由の1つに、この知識データの不足があげられます。
例えばアラビア語の歌をアラビア語の知識がないままで聞いても、何十回と聞いたところでまったく意味はわからないでしょう。
これは知識データベースがなく、音声知覚も意味理解もすることができないからです。
英語も同じです。
知識データベースなしで英語の聞き流しを行っても、ただの雑音にしかなりません。
そのため英語の聞き流しをしてもただの雑音の聞き流しにしかならず、リスニング力向上につながらないのです。
英語の発音を理解できない
知識データベースの中でも、特に覚える必要があるものが「音の変化」です。
1文字1音が基本の日本語と違い、英語は単語と単語がつながることで音の変化が起こるのです。
先ほどご紹介した「run away」という表現。
それぞれの音をカナカナで表すと「run=ラン」「away=アウェイ」ですが、2つがつながることで「ラナウェイ」という音に近くなります。
この単語同士が連結して発音される「音の連結(リンキング)」と呼ばれる音変化以外にも、英語には様々な音変化が存在します。
そのため音変化の知識データベースや音声知覚力がないと音変化に対応できず、英語音源を意味のあるものとして認識することができません。
英語の発音を理解できないまま聞き流しを行っても単なる雑音になってしまうため、リスニング力向上につながらないのです。
②意識的に聞けていない
英語のリスニング力の向上には、音声知覚や意味理解のトレーニングが必要です。
このうち日本人が苦手とする「音声知覚」を鍛えるには、英語音源を「意識的」に聞き音変化に「気づく」ことが重要になります。
これを裏付けるのがドイツの言語学者シュミットが提唱した「気づき仮説」です。
シュミットによると言語の習得には3つの段階があり、「インプット→インテイク→アウトプット」で成り立ちます。
インプットとは単語や文法の知識を身につけること、アウトプットはインプットで習得した知識を話したり書いたりして使用することです。
聞き慣れない「インテイク」という言葉ですが、これはインプットで得た語彙・文法などの言語形式を意識し「気づく」ことを指します。例えば単語帳で学習した覚えはあるけれども意味がわからなかった単語に対し、「これってどんな意味だったかな?」と疑問を持つ(=気づく)ことがインテイクです。
シュミットは自身の経験や研究を基に、インプットをアウトプットへとつなげる=使えるレベルまで知識を定着させるためにはインプットの量ではなくインテイク(=気づき)が重要だと結論づけています。
聞き流しの場合意識せず英語の音源を聞くため、たくさん英語を聞いても「インテイク」が起こりません。そのためたくさん英語音源を聞いても知識として定着せず、結果としてリスニング力が向上しないのです。
参考文献:The Role of Consciousness in Second Language Learning1
聞き流しリスニングを効果的に変えるには?
ここまでご説明した通り、単純な聞き流しではリスニング力向上は見込めません。
しかし以下4点を意識することで、聞き流しをリスニング力向上へとつなげていくことができますよ。
- 語彙や文法を強化する
- 音声知覚を自動化する
- 内容を意識しながら聞く
- 英語の語順に慣れる
それぞれについて詳しく解説します。
語彙や文法を強化する
音声知覚にも意味理解にも関わってくる「知識データベース」。知識データベースの充実なしで英語リスニングはできません。
英語の音源を「意味のある音」としてとらえるためにも、語彙や文法を強化していきましょう。
文法なら中学校3年生で習うレベルは確実におさえておきたいもの。単語ならTOEIC900レベルである10000語程度までは増やしていきたいです。
両者とも大切なのは「内容」を理解しながらインプットすることです。
文法は「現在完了形」や「過去進行形」といった言葉を覚えるのではなく、それらがいつどのように使われるのか「内容」を重視して覚えていきましょう。
単語は意味やつづりの他、「音」も一緒に記憶してください。1文字1音の日本語が基本の日本語と違い、英語はつづりと音が一致しないケースが多々あります。
音も含めて記憶することで、音声知覚に役立つ音データ知識が蓄積していきます。
こちらのページでは単語の効率的な覚え方をご説明していますので、ぜひご一読ください。
音声知覚を自動化する
音声知覚を自動化できれば、聞き流しもリスニング力向上に役立てることができます。
英語の音情報を単語に置き換える能力が上がれば、聞き流しの英語音源も「意味のある音」としてとらえやすくなるからです。
音声知覚を鍛えるのにもっとも有効な方法がシャドーイングです。
シャドーイングとは「聞いた音源の内容を、聞いた通りに発音する」勉強法のこと。シャドーイングを行うことで「ラナウェイ=run away」といった音変化にも対応できるようになります。
音声知覚が自動化することで意味理解に集中することができるようになり、結果としてリスニング力が上がっていきますよ。
シャドーイングの効果や正しいやり方については以下のページで詳しく説明していますので、ぜひ合わせてご覧ください。
内容を意識しながら聞く
聞き流しをリスニング力向上につなげたいのであれば、内容を「意識」しながら聞くことが大切です。
意識的に聞こうと思っているのに英語音源が頭に残らず流れていってしまう場合には、ディクテーションを行うことをおすすめします。
ディクテーションとは「聞こえた英語を一語一句書きとる」勉強方法のこと。
音声知覚力向上や英文構造の理解といった面で効果があるだけではなく、「書く」という行為があることで、自然と英語音源の内容に意識が向けられるメリットがあります。
ディクテーションの正しいやり方については以下の記事で詳細にご説明していますので、ぜひご一読ください。
またしっかりと内容に意識が向けられているのであれば、より内容にフォーカスした「多聴」もおすすめです。
英語の語順に慣れる
英語の音は聞き取れるけれども意味を理解する前に英語がどんどん進んでいってしまう…。
そんな人は英語を日本語の語順に置き換えて理解しようとしている、あるいは意味理解に時間がかかっていることが考えられます。
英語を英語の語順のままで理解する力・クセをつけるのに有効なのが速読・多読です。
英語の語順で理解する力を身につけることで英語音源のスピードに対応できるようになり、リスニング力が向上します。
また速読・多読と合わせて実施したいのがシャドーイングです。
音声知覚の自動化に効果があるシャドーイングを組み合わせることで、さらに英語の音がとらえやすくなります。
おすすめのリスニングアプリ
最後にリスニング力向上におすすめのリスニングアプリをレベル別にご紹介します。自分のレベルに合った適切なアプリで学習することで、効率的に英語力を伸ばしていくことができますよ。
初級者向け
英語初級者には「英会話リスニング」アプリがおすすめです。
旅行や留学など1460を超えるシーンが収録されており、様々なシチュエーションで使える英語が身に付きます。
短いフレーズが多く英語初心者にも取り組みやすい内容になっている他、ちょっとした隙間時間にもリスニング学習ができるのもポイントです。
ネイティブの英語音源をまとめて再生できる「フレーズ聞き流し」機能もあり、便利に利用できますよ。
中級者向け
「英会話や英単語を聞き流し – 英語リスニング」では1分程度のスポーツや経済といったニュースが毎日配信されます。
リピート再生や再生速度調整、字幕(英・日)オンオフといった、リスニング学習に便利な機能が満載です。
特に再生速度は0.5〜2.0倍速まで選べ、リスニング時の負荷が調整しやすくなっています。
単語レベルやニュースの長さを考慮に入れると、英語中級者程度におすすめのアプリです。
上級者向け
英語上級者なら、リスニング教材は「TED」がおすすめです。
TEDは世界中の様々な分野の著名人の講演が見られるアプリで、色々な国・地域で使われている英語アクセントなどに触れられるのがポイントです。
またジャンルも多様なため、自分の興味が持てる分野が見つかるでしょう。
英文スクリプトも付いておりリスニング教材としてはもちろん、工夫次第でディクテーション教材やシャドーイング教材として使えます。
より効果的にリスニングを向上したい人は?
今回ご説明した通り、「無意識な」聞き流しでは英語リスニング力向上は見込めません。
しかし上記のようにポイントを抑えてリスニングを行うことで、リスニング力は確実に向上しますよ。
リスニングトレーニングでぜひ取り入れたいのが、音声知覚を鍛えるのに有効なシャドーイングです。
シャドーイングに特化したアプリ「シャドテン」なら以下6つの特徴があり、シャドーイングの効果をさらに高めることができます。
- 英語学習のプロからのフィードバックが毎日受けられ、正しくシャドーイングできる
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- 4か国の音源で様々な英語アクセントに対応
- 練習~録音・提出まですべてスマホで完結し手軽
- 24時間学習時間や場所を選ばずシャドーイングが可能
- 初級から上級まで幅広く対応
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